ふっと立ち止まって、自分に優しくする方法
- 沢雄司
- 6月29日
- 読了時間: 3分
「もっとちゃんとしなきゃ」って思うこと、ありますよね。あれもできていない、これもできていない、とつい自分を責めてしまう。そんなふうに自分に厳しいあなたは、本当はとても優しい人なんだろうと思います。 誰よりも「ちゃんとしたい」「ちゃんとした人でありたい」という願いが強いからこそ、自分への視線が厳しくなる。でも、その厳しさは少しずつ、あなた自身の心をすり減らしてしまいます。
私たちは、自分自身に対して『理想の自分』というイメージを持っています。その理想は、人によって様々。「いつも明るく元気でいなくちゃ」「人に弱みを見せちゃいけない」「何事にも動じない落ち着きを保つべき」なんて、自分で自分に課したルールがたくさんあるのです。

でも、この『理想の自分』はあくまで自分が作ったイメージです。現実のあなたとは必ずしも一致しません。それなのに私たちは、現実の自分がその理想に届かないとき、「私はダメだ」「こんな自分じゃいけない」と自分を責めてしまう。 こうして生まれる自己批判は、決して客観的なものではありません。むしろ、「こうでなければいけない」という、自分の価値観や主観的な願望に強く縛られた結果なのです。

では、自分を客観的に見るってどういうことでしょうか?それは、自分自身を「外から観察するような気持ち」で眺めてみることです。ちょうど公園のベンチに座って道ゆく人を眺めるように、少し離れて自分を見つめてみるのです。
たとえば、自分が怒ってしまった時。「ああ、私は今、怒っているんだな」とただ気づいてあげる。そこに「怒っている自分は悪い」「こんなことで怒るなんてダメだ」という評価を加えずに、ただ「ああ、怒りを感じている」と認めてあげる。怒りや悲しみ、嫉妬や寂しさ。どんな感情も、まずはありのまま「そういう気持ちを感じている」と受け止めてあげましょう。

「理想と違うからダメ」と即座に判断する代わりに「理想とは違う私がここにいるんだな」と静かに受け止める。そしてその差異を、良し悪しではなく、ただの事実として見てみる。その事実を「こういうことを自分は大切にしているんだな」「こんなことに私は敏感に反応するんだな」と、自分について知るためのヒントとして受け取ることが大切です。
なぜ、この態度が大切なのでしょうか?

私たちは、「こうあるべき」という理想にがんじがらめになると、心に無理を強いてしまいます。その無理が重なると、心は疲れ果ててしまう。でも、客観的な視点で自分を見つめられるようになると、そんな苦しさが少しずつ軽くなります。自分を責める代わりに、自分を理解し、受け入れてあげることができるからです。

そんなふうにして少しずつ、「今のままの自分でもいいんだな」と思えるようになれば、心に新しい風が吹いてきます。心のエネルギーが、自分を責めることではなく、本当に自分がやりたいことや心地よいことに向かって流れ始めるのです。
自分を責めてしまうあなたへ。少しだけ立ち止まって、自分を遠くから眺める時間を作ってみませんか?客観的に自分を見つめるとは、自分に対してほんの少しだけ優しくなることでもあります。今夜は深呼吸をして、「私は私」と、そっと自分に言ってあげてくださいね。

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