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執筆者の写真沢雄司

悩むための環境


禅の修業の中で、どのように坐禅したらよいか、その作法が坐禅儀という書物にかいてあります。坐禅儀は中国で書かれた書物「禅宗四部録(信心銘、証道歌、十牛図、坐禅儀)の中の一つで、700年前ほど前から伝わるものです。 





そこには

「坐禅しようとするときは、静かな場所で、厚く座布団を敷き、着物の帯など体を締め付けるものはゆるやかにし、姿勢をきちんと整えます。」

と書いてあります。


「厳しい修行なのだから、岩の上や、雑踏の中でも修行をするべきだ!」とは書いてありません。「静かな場所で、厚く座布団を敷き」とありますから、自分と向き合う”環境”も大切なことが書いてあります。


環境を整えたうえで、しっかりと自分と向き合うのが禅の修行と読み取れます。

では、カウンセリングで自分と向き合う時にはどうしたらよいでしょうか。


仕事中で怒鳴られたあとや、家の中での喧嘩の後、興奮しイライラして悩む。こういう時には、自分と向き合う内省を行うことは難しいでしょう。「静かな場所で」とありますから、自分が責められることがなく、気持ちを落ちつけられる環境がよいでしょう。


「姿勢をきちんと整えます。」とありますから、ゴロゴロしているときや、お風呂の中、布団の中では難しいでしょう。ちょっとしたことであれば、お風呂や寝る前にも考え事はできるでしょう。しかし、すごく悩んでいること、辛い感情に向き合うには、お風呂や布団ではなく、自分と向き合うための程よい緊張感も大切でしょう。


悩む作業というのは、難しいものです。自分の悩みに圧倒されてしまうことも多いでしょう。悩むときには、脅かされず安心できて、リラックスするけれどもだらけない、このような環境で自分と向き合うことができるとよいでしょう。


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