自由なカウンセリング
かまくら相談室のカウンセリングについて、会話形式でご紹介いたします。
他でカウンセリングを受けて効果を感じなかった女性が、「カウンセリングとはどういうものなのだろうか」と、私に率直な質問をされたのでお答えしました。
※冬美さん(仮名)ご本人のご厚意のもと掲載いたします。
沢 >こんにちは。
冬美さん>こんにちは。
沢 >今日は、どのような。
冬美さん>いきなり、失礼なお話になってしまうかもしれませんが、私は臨床心理士さんには良い思い出がないのです…。
沢 >うーん。良い思い出がないのですね。
冬美さん>はい。いろんなカウンセラーの資格があるなかで臨床心理士になるというのは大変なことだと知っていますし、深い悩みに寄り添えるのはやはり、真剣に訓練されて来た方だけだと思っています。臨床心理士さんを尊敬し、信頼しているのも事実です。
沢 >信頼はしているけれども、よい思い出がないのですね。
冬美さん>それで、私がカウンセリングについて信用していないわけではないですが、不安なことを率直にお聞きしたいと思いました。
沢 >わかりました。かまくら相談室におけるカウンセリングとして、お答えいたします。どうぞ遠慮なく、お聞きください。
冬美さん>色々と不安になりやすくて。カウンセリングを受けることにも、不安があるんです。
沢 >カウンセリングで悩みや弱みを話すことが「不安だなぁ」と思うことは、ごく自然なことですよ。
冬美さん>でも私は、不安が強すぎて困っているくらいです(^^;
沢 >不安が強すぎるのですね。
冬美さん>心配しすぎ、考えすぎ、気にするな、とかよく言われます。
沢 >では始める前に、かまくら相談室のカウンセリングについて、あなたの質問にお答えしますね。
冬美さん>ありがとうございます。ほんと、色々あるんですが、何を聞いてもいいですか。
沢 >遠慮なく、どうぞ。
冬美さん>私は以前、臨床心理士さんのカウンセリングに通いました。
沢 >ええ。
冬美さん>通って良かったと思うところもありますが、ほとんど変化がなかったんです。
沢 >変化がなかったのですね。
冬美さん>2年も続けていたのに、あまり意味が無いと感じてやめました。ゴールが見えないのにそのまま通うことができなかったんです。
沢 >2年通われても、変化がなかったのですね。
冬美さん>それなら、カウンセリングで対応できること、できないことを初めに知っていれば良かったのかなと思うことがあります。
沢 >2年も通ったのに変化がないから、このカウンセリングに意味が無いと思うのですね。
冬美さん>はい。よかったこともあるのですが。カウンセリングでは対応できないことだったのではないかと。
沢 >「このカウンセリング意味がありますか?」とカウンセラーに伝えたことはありますか。
冬美さん>そんな失礼なことは、なかなか言えませんよね?
沢 >言いづらいですよね。でもカウンセリングでは本音を言っていいんですよ。本音が大切だとかまくら相談室では考えます。
冬美さん>自分の悩みとは関係がないような気がしまして、カウンセラーさんに失礼だと思ったんです。
沢 >普段から気を使ってしまって、なかなか「本音が言えない」、そういうことありますか?
冬美さん>確かに思い当たります。よく思い返してみると、本音を言ってなかったなと思います。本音を言うのは本当に怖いことです。
沢 >そうですね。本音で話すというのは、怖いことですね。「どんな風に怖いのですか?」「日常で本音を出せない時、どんな風にお感じになりますか?」とお聞きしていくと、カウンセリングとして深まっていきます。
冬美さん>なるほど。カウンセリングでは「気持ち」について話すのですね。
沢 >「言うのが怖い」という本音を話すんです。
冬美さん>もちろん本音をきちんと伝えたこともたくさんありました。その時、心理士さんの機嫌が悪くなり、言い訳をされたりすることがありました。意見を真っ向から否定されることもありました。そういう対応をされると、「もうこの人には本音は言えないな」と思ったのです。それからは本音を言わなくなりましたね。
沢 >それは、言えなくなりますね。せっかく本音を話されたのに。
冬美さん>こんな状態であっても、さらに本音を伝えていくべきだったのでしょうか? 臨床心理士さんに本当に良い思い出がなく、何年も怒りが消えないので、刺々しい質問になってしまいました。
沢 >怒りが消えないのですね。
冬美さん>ごめんなさい。
沢 >私は不機嫌になっていませんよ。大丈夫です。今は刺々しいと思いつつ、「臨床心理士に対する怒りが消えないんだ!」と言えていますから、この調子だと思います。
冬美さん>ありがとうございます。カウンセラーさんの態度に対して、本人に意見を言っても良かったんでしょうか?
沢 >もちろんです。自由なやりとりが大切です。
冬美さん>もし本音を言おうと思っても、カウンセリングでつらい体験を話すことができないことがあると思います。この場合はカウンセリングでは難しいのではないかと思っています。
沢 >辛いことは、話しづらいですね。そういうことは、話さずにおくということでも、いいと思います。
冬美さん>話さなくてもいいのですか?
沢 >ええ。「今は話したくない」というのが本音だからです。話せないほど辛いことというのはあります。もし、カウンセラーと色々な違う話をしながら、ふと話せる時がきたら、その時が時期なのだと思います。
冬美さん>お金を払ってて、何も話せていないと治らないのではないかと焦ります。
沢 >焦る必要はありません。「話せない」という辛いお気持ちをカウンセリングで受け止めてもらったら、いかがでしょうか。
冬美さん>話せるまで、待ってもらうということでしょうか。
沢 > 話せるまでは、何かが整っていないのです。他人に弱みを話すことが怖いとか、カウンセラーをまだ信頼できていないとか、そういうこともあると思います。または、カウンセリングをするうち今の自分に納得し、「辛い体験を話さなくてもいいんだ」と腑に落ちる場合もあると思いますよ。
冬美さん>話すことができなくても大丈夫なのですね。「話さないと癒えないんじゃないか」と思っていました。話せるときに話せばいいと思うと、楽になります。質問させていただいて、やはり心のことは心の専門家にお聞きするのが一番だなぁと思いました。
沢 >話したいときは話す。話したいときは話さない。それでいいんですよ。
冬美さん>話すからカウンセリングでは良くなるのだと思っていました。話さなくてもいいのなら、なんでカウンセリングでなんで治っていくのでしょうか。正直カウンセリングがどういう仕組みなのか、よくわからないです。過去の解釈が変わるから?過去について心の整理ができるから?人間不信を回復できるからでしょうか?
沢 >大事なご質問ですね。カウンセラーに「話す」と良くなる。「話さないと良くならない」そう思われがちですが、大事な部分は実は「話すかどうか」ではありません。大事なのは「自然体でいること」だと考えます。
冬美さん>話す事にこだわっていました。話さなくてもよいなんて、ほとんどの方が知らない事のような気がします。
沢 >話さないのが自然なら、それでいいんです。
冬美さん>自然ですか。。。ピンとこないです。
沢 >自然というのは、楽しいことを楽しいと思えて、悩むべきことを悩み、暮らしたいように暮らせれば自然です。
冬美さん>普通ですよね。それは。
沢 >そうです。逆に不自然の例を挙げるとピントくるでしょうか。考えたくないのに、考えてしまったり、やりたくないのに、やってしまったり。やめたいことや、嫌なことを続けてしまったり、楽しいことを自分から避けてしまったり。自分は幸せになってはいけないように思ったり、幸福になると罪悪感を持ってしまったり。。。
冬美さん>悩みって自然の逆ですね。
沢 >不自然をやめるのが大切です。
冬美さん>悩みがなくなるのは、不自然さから抜け出るということでしょうか。
沢 >そうですね。不必要な悩みからは抜け、必要なことは悩む、これが自然でしょうね。不自然さから、一人では抜け出せないとき、カウンセラーの助けを借りて、自然体に近づく。これがかまくら相談室で行っているカウンセリングの治療です。
冬美さん>自然体なら話さなくてもよいのに、カウンセリングはカウンセラーに「悩みを話すこと」とよく言われますよね。
沢 >確かに、カウンセリングで話すことが重要視されていますね。それは、悩んでいるとき誰かに話したくなり、誰かに自分の悩みを聴いてもらいたくなる事が自然だからです。ですから、自然体として話したいなら話す。話したくないなら話さない。それでいいのです。
冬美さん>話すことにこだわっていました。カウンセリングというのは不自然な状態を自然体に戻していく作業だったんですね。カウンセラーに話したいから、話す。だから自然体に近づくんですね。
沢 >そうです。話したくないときは話さない。沈黙もカウンセリングですし、絵を描いたり、悩み事意外の雑談をしたり、本当に自由にカウンセリングの時間を使って、気ままに過ごしていただくことが、カウンセリングでは大切です。そうすれば、自分らしい自分を取り戻すことができて、カウンセリングがなくても、自分一人で自然体で日々を送ることができるようになる。そういうカラクリです。
冬美さん>ほんとうに驚いています。沈黙も絵を描くことも、雑談でもいいのですね。カウンセリングって本当はこんなに自由なものだったんですか。このことを知った今では、「カウンセリングって楽しそうだな」って思います。
沢 >カウンセリングは自由ですよ。カウンセリングの枠組みの中で、自由に過ごすことがとても大切です。悩みを話すからとか、考え方を変えるからとか、不信感を取り除くから、というような無理に「変える」のではなく、自然と変わってゆき、「あるがままの姿になる」それが「治る」ことなのだと思いますよ。
冬美さん>カウンセリングに対するイメージが180度変わりました。驚いてばかりです。
沢 >素直に「驚いた!」と話されて、自然ですね(笑)
冬美さん>自由なカウンセリングをもっとたくさんの人に知って欲しい、本当にそう思います。
沢 >ソファーで寝ちゃう人や,床に座る人もいますし,折り紙をやる人もいるぐらい,私のところは自由ですよ。(笑) 塗り絵や紙粘土やジェンガやUNOも用意があります。遊びながら,話す,そんなのだっていいんです。子どもでなくともゲームを通して、カウンセラーとの相互交流が治療的だったりもするんですよ。
冬美さん>それはすごいですね!本当に自由なんですね〜(笑)
沢 >自由ですよ。泣くにせよ,怒るにせよ,悩むにせよ、遊ぶにせよ,自由な表現,振る舞いに伴って,カウンセリングが進んでゆきます。
冬美さん>遊びに行くような感じでしょうか。確かに一緒に遊んでいたら、心を開けるようになるでしょうね。
沢 >プレイセラピー(遊戯療法)では、遊ぶという中で自然な表現がされますね。遊びは心を自然にさせますものね。しかし心の自然な自己表現が難しくなっている方がカウンセリングにいらっしゃいます。だからこそのカウンセリングですから,日常的に遊ぶこととは異なってきます。枠組みを大切にして慎重に、丁寧にカウンセリングを行う必要があるんですよ。
冬美さん>は〜すごいです。本当に知らなかったので、ここまで自由でいいのかとびっくりしてます。このような自由なカウンセリングはかまくら相談室さんだけの特徴なのですか?他のカウンセリングで、ここまで自由でいいなんて聞いたことがなかったので。
沢 >「ご自由にお話しください」や「ご自身のペースで」などと、自然体を大切にする姿勢でいる説明はよくあると思います。ですから、自然でいることの大切さは共通しているところだとは思います。かまくら相談室では、「自然体」=「あるがまま」を特に大事に思っております。またカウンセリングの中心だと考えております。
冬美さん>カウンセリングについて疑問が解けました。本当に、色々と質問に丁寧にお答え頂けて良かったです。
沢 >こちらこそ、お話ができてよかったですよ。また何か疑問があればご自由にお聞きくださいね。