不安やパニックについて
- 沢雄司

- 2020年4月14日
- 読了時間: 7分
更新日:4月14日
不安やパニックは「気のせい」でも「弱さ」でもありません。今よりも自由な日常が戻るようにお手伝いします。

心と身体が過剰に危険を知らせているときに起きていること
突然、胸がどきどきする。息が苦しい。めまいがする。このまま倒れてしまうのではないか、死んでしまうのではないかと感じる。
そうした強い不安やパニックの症状に襲われると、多くの方がまず、「自分はおかしくなってしまったのではないか」「気持ちの問題なのに、こんなに苦しいのはなぜだろう」と不安になります。けれど、不安やパニックは、単なる気の持ちようではありません。それは多くの場合、脳と身体が危険を過大に察知し、警報を鳴らし続けている状態です。
かまくら相談室では、不安感、予期不安、動悸、息苦しさ、外出への恐怖、電車や人混みへの不安、パニック発作に関するご相談はとても多く寄せられます。特に、まじめで責任感が強く、普段はきちんと生活している方ほど、ある日突然このような症状に見舞われ、強い戸惑いを抱えることがあります。
パニックは、「身体症状」と「恐怖」が結びついて強くなる
不安やパニックでは、まず身体が反応することが少なくありません。
動悸
息苦しさ
胸の圧迫感
めまい
手足の震え
吐き気
冷や汗
現実感の薄れ
こうした反応は、本来は危険から身を守るための身体の仕組みです。ところが、実際には命の危険がない場面でも、この警報装置が強く作動してしまうことがあります。
すると、身体症状に対してさらに、
「このまま倒れるのでは」「心臓の病気ではないか」「また発作が起きたらどうしよう」
という恐怖が重なり、ますます身体が緊張し、症状が強まっていきます。これが、パニックの悪循環です。
つまり、苦しさは「演技」でも「考えすぎ」でもなく、実際に身体の警報が暴走しているために起きているのです。

「原因がわからない」ときも、回復は十分に起こりえます
不安やパニックに苦しむ方の多くが、「原因がわからないから治らないのではないか」と感じます。
しかし実際には、原因は一つとは限りません。
疲労や睡眠不足
緊張の積み重ね
人間関係での無理
環境の変化
将来への不安
自分でも気づいていない感情の抑圧
これまでの生き方の限界
こうしたいくつもの要因が重なって、不安が強くなっていることが少なくありません。
そのため、最初から完璧に「原因探し」をしなくても大丈夫です。まずは、何が起きているのかという仕組みを理解し、悪循環を少しずつほどいていくことで、改善は十分に起こりえます。
原因の理解は、その後に深まっていくことも多いものです。

深いところでは、こころの葛藤が身体に現れていることもある
不安やパニックは、身体の反応として現れますが、その背景には、こころの深い葛藤が関わっていることがあります。たとえば、
しっかりしなければならない
人に迷惑をかけてはいけない
弱さを見せてはいけない
自分でコントロールしなければならない
誰かに頼りたいけれど、頼ってはいけない気がする
こうした思いが強い方は、表面上は落ち着いて見えても、内側では大きな緊張を抱えていることがあります。また、怒り、寂しさ、傷つき、見捨てられ不安などが、十分に感じられず、言葉にもできないままになっているとき、それらが身体症状という形で表に出てくることもあります。深層心理学では、こうした症状を単なる不具合としてではなく、心が何かを訴えている表現として捉えることがあります。
これまでのやり方ではもう無理がある。けれど、次の生き方にもまだ踏み出せない。その境目に立つとき、人は強い不安を感じることがあります。苦しさの最中にこうした意味をすぐに考える必要はありません。まずは症状を軽くし、安全を回復することが大切です。ただ、少し落ち着いてきたときに、「この不安は、私の人生のどこで生じているのか」「何に近づこうとして、何を怖れているのか」を見ていくことは、回復をより深く確かなものにしていきます。

かまくら相談室でのカウンセリング方針
かまくら相談室では、不安やパニックに対して、単に「考えすぎですよ」と励ますのではなく、症状の仕組みと、その人の生き方の両方に目を向けることを大切にしています。
1.まずは安全と安心を整える
最初に大切なのは、今どのくらい苦しいのか、何が起きているのかを整理し、安心できる土台をつくることです。
どんな場面で症状が出るのか
何がきっかけになりやすいのか
発作の前後で何を感じているのか
日常生活にどの程度影響が出ているのか
こうしたことを一緒に確認しながら、混乱した体験を少しずつ理解可能なものにしていきます。
「わけのわからない恐怖」が、「こういう仕組みで起きているのかもしれない」と見えてくるだけでも、不安はやや和らぎ始めます。
2.悪循環を具体的にほどいていく
不安やパニックは、放っておくと身体症状 → 恐怖 → さらなる緊張 → 症状悪化という循環に入りやすくなります。
そのためカウンセリングでは、
身体反応への理解
不安を強める考え方の整理
回避行動の見直し
日常生活の安定化
不安との付き合い方の練習
などを、状態に応じて具体的に行っていきます。
必要に応じて、認知行動療法的な考え方も活用しながら、「発作をなくすこと」だけでなく、発作への恐れに支配されすぎない心身の状態を育てていきます。

3.その人の深い緊張や生き方を理解する
ある程度の安全が整ってきたら、症状の背景にあるその人らしいテーマにも目を向けていきます。
なぜここまで緊張を抱え込みやすいのか
どんな場面で「ちゃんとしなければ」が強くなるのか
頼ること、休むこと、怒ることにどんな難しさがあるのか
人生の変化や成長の局面で、何が起きているのか
ここを丁寧に見ていくことで、単に症状が一時的に軽くなるだけでなく、不安を生みやすいこころの土台そのものが少しずつ変わっていくことが期待できます。
カウンセリングを受けると、どのような変化が起きていくのか
不安やパニックの回復は、劇的に一晩で起こるというより、少しずつ積み重なっていくことが多いものです。ただ、適切に取り組むことで、次のような変化は十分に期待できます。
発作が起きそうなときの見通しが持てる
身体症状に必要以上に振り回されにくくなる
「また起きたらどうしよう」という予期不安が和らぐ
電車、人混み、外出など避けていたことに少しずつ戻れる
自分を追い込みすぎる癖に気づける
不安を否定するだけでなく、扱える感覚が育つ
生き方全体に少し余白ができる
つまりカウンセリングの効果は、単に「不安がゼロになる」ことだけではありません。不安があっても、以前ほど支配されずに生きられるようになること、そして、不安を生みやすかった生き方そのものに変化が起きていくことにあります。
薬は必要ですか?
不安やパニックの状態によっては、薬が役立つことがあります。特に、睡眠が取れない、日常生活への支障が大きい、発作への恐怖が強すぎるといった場合には、医療機関での相談が有効です。
一方で、薬だけでは、
なぜ不安が強まりやすいのか
どんな考え方や関係パターンが背景にあるのか
再発しやすい生き方の癖は何か
といった部分までは扱いきれないことがあります。
そのため、必要に応じて医療とカウンセリングを併用することはとても自然な選択です。また、状態によっては、カウンセリングを丁寧に進めることで、不安との付き合い方が育ち、結果として薬に頼りすぎずにすむ方向が見えてくることもあります。

こんな方は、一度ご相談ください
動悸や息苦しさ、めまいが繰り返し起こる
電車や人混み、美容院、会議など特定の場面が怖い
「また発作が起きるのでは」と考えて外出が減った
病院で大きな異常はないと言われたが苦しい
不安のせいで仕事や家事に支障が出ている
ずっと緊張していて、休んでも休まらない
原因はわからないが、このままではしんどい
不安やパニックは、ひとりで抱えるほど、症状そのものよりも「また起きるかもしれない」という恐怖が大きくなりやすいものです。だからこそ、早めに相談すると良い時もあります。

最後に
不安やパニックは、あなたの弱さではありません。それは、心と身体が必死に危険を知らせている状態であり、同時に、今の生き方のどこかに無理が生じていることを知らせるサインでもあります。
かまくら相談室では、症状を単に抑えることだけでなく、なぜ今、あなたにこの苦しさが起きているのかこれからどうすれば、もう少し安心して生きられるのかを一緒に考えていきます。
不安をなくそうと一人で闘い続けるのではなく、その不安を少しずつ理解し、支配されにくくしていくこと。その先に、今よりも自由な日常が戻ってくることを目指します。



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