抑うつ症状について
- 沢雄司

- 2020年4月14日
- 読了時間: 6分
気分の落ち込みは、「怠け」ではありません
・「朝起きるのがつらい」
・「何をするにも気力が出ない」
・「前はできていたことが、うまくできない」
・「涙が出る」「自分を責めてしまう」

こうした状態が続くと、多くの方はまず、
・「自分が弱いからではないか」
・「怠けているだけではないか」
と考えてしまいます。
しかし実際には、それは怠けではなく、心と体のエネルギーがかなり消耗している状態かもしれません。
開業カウンセリングの場でも、気分の落ち込みや抑うつ感はとても多く見られるご相談の一つです。
まじめで、責任感があり、周囲に気を配れる方ほど、外からは「ちゃんとしている」ように見えながら、内側では限界に近づいていることがあります。
「ちゃんとしなければ」が、自分を苦しめることがある
抑うつの背景には、単なる疲労だけでなく、長いあいだ続いてきたこころの緊張が関係していることがあります。
たとえば、
・迷惑をかけてはいけない
・きちんとしていなければならない
・弱音を吐いてはいけない
・怒ってはいけない
・頑張れない自分には価値がない

そのような思いが強い方は、自分の自然な感情を抑え込みやすくなります。
・本当は悲しい。
・本当は腹が立っている。
・本当は寂しい。
・本当は休みたい。
けれど、それを感じたり表したりすることが難しいと、行き場を失った感情は内側へ向かい、自己批判や自己否定の形で固まっていくことがあります。
・「自分が悪い」
・「自分がもっと頑張ればいい」
・「こんなことでつらいと思う自分がおかしい」
そうやって自分を責め続けるうちに、心はさらに動けなくなっていきます。
抑うつは、心の故障だけではなく「内面への要請」として現れることもある
深層心理学では、抑うつを単なる故障やマイナスとしてだけでなく、心がこれまでの生き方を見直そうとしているサインとして捉えることがあります。
外に向かって頑張り続けてきた人が、もう同じやり方では生きられない。
これまで抑えてきた感情や、置き去りにしてきた自分が、ようやく存在を訴え始めている。
そのようなとき、夢や身体感覚、言葉にならないイメージが、心の深いところからのメッセージを運んでくることがあります。
もちろん、こうしたことを無理に意味づけしたり、象徴的に解釈しすぎたりすることは慎重でなければなりません。
体調や睡眠、安全の確保が土台です。必要に応じて医療につなぐことも大切です。
そのうえで、落ち込みを「ただ消すべきもの」として扱うのではなく、この苦しさは何を伝えようとしているのかを丁寧に聴いていくことには、大きな意味があります。

カウンセリングで大切にしていること
気分の落ち込みが強いとき、カウンセリングではまず、気合いや根性ではなく、安全と生活の土台を整えることを大切にします。
たとえば、
・希死念慮の有無など、安全の確認
・睡眠、食事、生活リズムの立て直し
・抱えている問題の整理
・考え方や行動を少しずつ無理のない形に整えること
・一人で抱え込んできた苦しさを言葉にしていくこと
こうしたことを、状態に合わせて段階的に進めていきます。
ここには認知行動療法と重なる部分もありますが、それだけではありません。
かまくら相談室では、「なぜこの人はここまで自分を責めてしまうのか」
「どのような自己像を背負って生きてきたのか」
といった、その人の内面の構造にも丁寧に目を向けていきます。
症状を早く消すことだけでなく、
この苦しさがどのように生まれ、
これからどう生き直していけるのか。
そこを一緒に見ていくことが、回復の土台になります。
回復とは、「元のように無理して動けるようになること」ではない
抑うつからの回復というと、「以前のように頑張れるようになること」と考えられがちです。
けれど本当の意味での回復は、ただ元に戻ることではない場合もあります。
むしろ、
・無理を無理と感じられるようになる
・悲しみや怒りを少しずつ自覚できるようになる
・自分を責めるだけでなく、いたわる視点が育つ
・他人の期待ではなく、自分にとって大切なものを考えられるようになる
そのように、その人らしい人生の形を取り戻していくことが、より深い回復につながっていきます。
抑うつの時期は苦しいものです。
けれど、その苦しみを丁寧にたどっていくことで、これまで見えなかった自分自身との出会いが起こることもあります。

Q. 薬だけで治りますか?
薬によって、睡眠や食欲、気分の波が和らぎ、回復の足場が整うことは少なくありません。
一方で、自己否定の癖や人との関係の中で繰り返されるパターン、無理を重ねやすい生き方そのものは、薬だけでは十分に扱いきれないことがあります。
そのため、状態によっては、医療とカウンセリングを併用することが有効な場合があります。
また、「できるだけ薬に頼りすぎずに回復したい」と感じる方が、カウンセリングを通して生活や心のあり方を整えていくことにも意味があります。
ただし、薬を使うかどうか、減らすかどうかは、自己判断ではなく、主治医と相談しながら進めることが大切です。
こんなときは、早めにご相談ください
・朝がつらく、仕事や家事に手がつかない
・以前楽しめていたことが楽しめない
・何度も自分を責めてしまう
・人に会うことがしんどい
・涙もろくなった、または感情が動かない
・眠れない、食べられない
・「消えてしまいたい」と感じることがある
落ち込みが長引いているとき、ひとりで立て直そうとしても難しいことがあります。
特に、「この程度で相談していいのだろうか」と思っている方ほど、すでにかなり無理を重ねていることがあります。
つらさをきちんと説明できなくても大丈夫です。
言葉にならない段階から、一緒に整理していくことができます。
かまくら相談室でできること
かまくら相談室では、気分の落ち込みや抑うつのご相談に対して、
今の症状への対処だけでなく、その背景にある生き方や心の緊張にも目を向けながら、丁寧にお話をうかがっています。
・「ただ励まされるだけではつらい」
・「自分でもなぜこんなに苦しいのかわからない」
・「表面だけではなく、もう少し深く自分を理解したい」
そのような方にとって、安心して話せる場になればと思っています。
つらさが深くなる前に、あるいは深くなってしまったあとでも、相談は遅すぎることはありません。
回復への道筋を一緒に考えていきます。



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