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抑うつを「意味」の側からみる

かまくら相談室では、抑うつを単なる不調や失敗としてだけでは捉えません。これまで外へ向かっていた心のエネルギーが、いったん内側へと退き、自分でもまだ言葉にできていない課題に向き合わざるをえなくなっている状態として見ます。


抑うつは、ただ「元気がなくなった状態」ではなく、これまでの生き方では支えきれなくなっていたものが、切実に姿を現している時期とも考えられます。無理に前向きになろうとしても動けない。頭では分かっていても、心がついてこない。そのようなとき、心の深いところでは、これまで後回しにされてきた感情や葛藤が、ようやくこちらを向き始めている、そういう心の動きかもしれません。


抑うつをすぐに片づけたり、効率よく乗り越える対象として扱ったりしないことが大事です。すぐに答えを出さないことはもどかしいことですが、いま起きている苦しみを、人生の流れの中で丁寧に見つめ、その人の心が何を抱え、何に耐えてきたのかを、急がずにたどっていく作業をカウンセリングの中で行います。

夢や象徴、イメージが助けになることがある


抑うつの体験は、うまく説明できないことが少なくありません。「つらい」と言っても足りない。「何が苦しいのか分からない」としか言えない。そうしたとき、夢、象徴、比喩、絵、イメージといったものが、心の状態を理解する手がかりになります。


たとえば、「深い穴に落ちている感じがする」「乾いた土地に一人で立っているようだ」「暗い家に閉じ込められている感じがする」といった表現には、単なる言い回し以上のものが含まれていることがあります。言葉になりきらない心の現実が、そうした像のかたちで現れてくるのです。それは、新しい可能性だから、ぼんやりしており、言葉や意識で捉えにくいのです。

こうした夢やイメージを、すぐに解釈したり、占いのように当てはめるのではなく、まずその人にとってどのような感触をもつものなのかをたどります。そこには、自分でも知らないうちに切り離してきた感情、長く耐えてきた痛み、本当は大切だった願いが映っていることが多いと感じています。この作業自体が、とても大事なことをしている実感が、きっと味わえることでしょう。


自分の心に時間と労力とエネルギーを注ぐことは、忙しい日常の中ではぜいたくに感じられるかもしれません。けれども、抑うつの只中にあるときほど、自分の内側で起きていることに、ていねいに関わることが大切だと言えるでしょう。自己研鑽、己事究明は、時間のかかる、労力をかける価値のあることです。すぐに治そうとするのではなく、分からなさを抱えながらも、自分の心の前にとどまること。その姿勢自体が、回復の土台と言えます。


ただし、安全より先に意味を置かない


ただし、希死念慮が強いとき、現実感が乏しいとき、ほとんど眠れない・食べられないほど消耗しているときには、まず安全の確保と医療的な支援が優先されます。意味を考えることは大切ですが、その前提として守られるべきものがあります。死にたい気持ちが強いとき、眠れない・食べられない状態が続くとき、現実ではない感じの考えや声があるときには、一人で抱え込まず、まず安全・安心を作ることが大切です。心の意味を考える作業は、安心が守られてこそ、ゆっくり進めていけるものです。この安全への配慮、現実を大切にする前提を大事にしつつ、心に時間と労力とエネルギーを注ぐ作業を行います。



相談を考えている方へ


「この苦しみには何か意味があるのだろうか」と感じること自体は、とても自然なことです。その問いを大切にしながら、自分の心に少しずつ関わっていくことは、回復に向かう一つの道になります。カウンセラーとして、そのお手伝いをしたいと思っております。

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