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カウンセリングの共感

更新日:2月13日




今回は、カウンセリングにおける共感について、3つの側面からお話しようと思います。カウンセリングの際には、多くの要素を考慮する必要がありますが、特に重要なのが共感です。共感は、クライアントの感情や思考を理解し、受け入れる能力であり、カウンセリングの効果を大きく左右します。

カウンセリングの建物と庭

共感における3つの側面を通して


・カウンセリングでのプロセス

・カウンセラーと友達に話を聞いてもらうことの違い

・カウンセリングが深まってゆく様子


このようなことが、ご理解いただけたら幸いです。


1.情緒的共感

「つらいんです」と話したら、カウンセラーに「つらいんですね」と共感してもらうことは、カウセリングの中心にあることだと思います。

つらさだけでなく、悲しさ、楽しさ、苦しさ、などクライアントの感情にカウンセラーは共感します。これを情緒的共感と言います。

情緒的共感では、クライアントの感情にカウンセラーの感情が反応しています。頭を通してではなく、人として生じる自然な心の動きです。悲しい映画を見て泣いたり、赤ん坊が笑っていたら、こちらも笑ったり。情緒的共感は、カウンセリングの基本であり、クライアントの心を開き、信頼関係を築くために欠かせません。素朴であり、共感において何より大切な部分でしょう。

「カウンセラーはつらい話を聞いて鬱になりませんか?」「しんどい話ばかりで、疲れませんか」と、よく言われます。もし情緒的共感のみであれば、クライアントと感情を共有すると同時に、共に病んで倒れてしまうことでしょう。


カウンセリングの建物と庭
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2.認知的共感


共感には感情が揺り動く情緒的共感の側面と、知的な理解をする認知的共感という側面があります。

 認知的共感は、クライアントの考えや状況を理解する共感です。

例えば、クライアントが「会社でパワハラを受けてしんどい」と話したら、カウンセラーは会社の状況や人間関係を聞いて、パワハラの具体的な内容や、クライアントがどう感じているのかを理解します。認知的共感により「だから、そんなにしんどいんだね」と共感が深まります。

 さらにカウンセリングでは、家族のこと、友達のこと、今の生活の様子、小さい頃や学生の頃の様子もお聞きします。するとカウンセラーは「こんな人生を歩んできたあなたが、今パワハラにあっているんだな」と、より深くクライアントを理解し共感します。

 クライエントは「今週もとてもしんどかったです」と単なる愚痴として述べるかもしれませんが、カウンセラーはクライアントの人生全体像から、より深く共感しています。

深く相手を知ることが、深く情緒的に共感することにも繋がります。そして深く共感されたことを支えに、話しにくかった事を徐々に話し、表現しづらかった感情を、ゆっくりと表現できるようになっていきます。このようにしてカウンセリングは深まってゆきます。


カウンセリングの建物と庭
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3.共感しない


 この深い共感にはカウンセリングの専門性が現れていますが、出口がありません。現状を変えることも、自分が変わることも、なかなかできません。感情を共有したところで、状況理解を共有したところで、多少の気晴らしになるかもしれませんが、それ以上のことは何も起きません。悩んでいる状況に同情したところで、行き詰まり感を強めるだけとも言えます。

まずは率直に、人間として素朴に感情を揺り動かされます。そこから相手を知り、深く理解することを通して、人生の全体像から共感します。しかしこの段階に出口はありません。 

 つらいからすぐに解決したい。早く苦しみから開放されたい。とてもつらく苦しそうだけれど、現状を共有すると、どうしょうもない現実に突き当たる。この限界をクライアントとカウンセラーが十分に共有した所から、共感しない段階に進みます。

それは、どうしょうもない現実はさておき、心はなんと言っているか耳を傾ける作業です。つらく、苦しいけれど、そこより深い心はどう動いているかを感じます。表面的なつらさ、苦しさに解決方法はすでになく、前向きな解決方法の希望は絶たれた状況で、ゆっくりと心の深いところに関心を向け、時間とエネルギーをかけてゆきます。これは自分の軸を作ること、自分の心の器を作ることと同じ心の作業です。

この作業が、カウンセリングの本業であり、共感=情緒的共感と認知的共感はカウンセリングを行う上での土台と言えるでしょう。土台は大切ですが、その上で心の作業することが大事です。

現実に押しつぶされそうなのに、さらなる課題を示されて、気が滅入るかもしれません。でも大丈夫です。そのためにカウンセラーがいます。そして、心の作業に向かうことは、何十回もカウンセリングを行った先にあるとても長い道のりに見えて、初回からすでに生じてもいます。


カウンセリングの建物と庭
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それはこんな感じです。


初回、初めてクライアントさんが扉の向こうから姿を表します。そこに疲れた、悲しそうな人がいるのを見るだけで、カウンセラーは悲しさに少し共感し始めています。席に座って、何でカウンセリングにいらっしゃったのか、主訴をお聞きします。すでに状況説明が始まっており、認知的共感により共感を深めています。

 さて、なぜカウンセリングに来たのか。それは解決方法がないからでしょう。あれば具体的に現実において行動していることでしょう。(カウンセリングを選んでいる時点で)解決方法がないことはすでにどこか気づいています。同時に自らの中にかすかな可能性を信じているともいえるでしょう。もうすでに、自らの心に問うて、心の声を聞こうという作業が始まっています。それを求めて来ているとも言えるでしょう。

 もちろん、心の作業を始めるためには、土台が大事ですから、時間をかけて傾聴しゆっくりと進めます。情緒的共感と認知的共感を通して、丁寧に関係構築することがカウンセリングの序盤では大切なことです。





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